最近はリフォームをした状態で販売されている物件「リノベーション物件」が多く見られますが、中には築年数の古いマンションもあって、本当に購入しても大丈夫なのかなと心配になることもありますよね。どんなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
リノベーション物件購入のメリット
実際の物件を見学できる
新築マンションの場合はモデルルームやパンフレットで物件を確認して購入しますが、リノベーション物件は実際に室内を見学して購入することができます。天井の高さや部屋の広さ、手持ちの家具が収まるかどうかはもちろん、眺望や日当たりも確認できるので安心です。また、上下左右にどんな方が住んでいるのか、わかる範囲で確認することができます。
室内が新築マンション同様に綺麗
ほとんどの場合、クロス(壁紙)張替・フローリング張替・水回り(キッチン・お風呂・トイレ)交換・給湯器交換がされています。もちろん、設備も最新か最新同様です。エアコンや照明が付いている場合もあり、物件によっては家具やカーテンが付いていることもあります。そして引渡し前にハウスクリーニングがされ、ピカピカの状態になります。誰も済んだことのないお部屋に住めるというのは気持ちがいいですよね。
立地の選択肢が豊富
新築マンションの場合はまとまった土地がないと建築できないため、ある程度立地が限られてきますが、リノベーション物件の場合は既に建っている様々な中古マンションの1室という形で販売されるため、駅近だったり公園の目の前だったり、思いもよらない好立地の物件が出ることがあります。また、勤務地やお子様の学校から〇分以内という風に検索した場合、物件の選択肢が新築マンションより断然多くなります。
おしゃれ
デザイン性の高いものが多く、個性的でおしゃれな暮らしが実現できます。また、築年数の古さが逆にヴィンテージ感を出している物件やバブル期に建てられた重厚感のある物件など、マンション自体がおしゃれな物件もあります。さらに専有部分は自分で追加のリノベーションをすることによって、こだわりのお部屋を造ることも可能です。
コスパが良い
新築マンションと比較して、コストパフォーマンスが良いです。新築マンションはモデルルームの設営費や人件費、膨大な広告費が価格に反映されていますが、リノベーション物件は実物が見学できるためモデルルームがなく、広告費も自社で販売しない会社はかからないため、販売のためにかかる費用が圧倒的に少ないため、その分価格を安く販売できます。とは言え、全くリノベーションをしていない中古マンションと比べると価格はやや高めになりますが、リノベーション業者はシステムキッチンやユニットバス、壁紙等はまとめて発注しているため、自分で中古マンションを購入してリノベーションをするよりも安く済む場合が多いです。
自分でリノベーションする場合よりも住宅ローンが組みやすい
住宅ローンで中古マンションを購入して自分で好きなリノベーションをする場合、金融機関にもよりますが「リノベーション費用は物件価格の10%までしか借りられない」等制限が決められている場合があります。例えば、物件価格が5000万円の場合はリノベーション費用は500万円までしか借りられないということになります。最近ではテレビでも芸人さんがリノベーション工事をする番組などがありますが、「あんな風におしゃれで個性的なお部屋に住みたい」という方が、築年数の古いマンションを3000万円位で購入して1000万円位かけてフルリノベーションしたいと言っても、それはリノベーション費用が物件価格の10%を超えてしまうため出来ないことになります。その場合にはある程度のリノベーション費用は自己資金として現金を準備しておく必要があります。
ところが、リノベーション物件であれば始めからリノベーション費用が物件価格に含まれているため、そのような制限は関係ありません。最近では早い段階で購入申し込みをすれば、好きな壁紙が選べるとか、好きな間取りプランが選べるというカスタムリノベーション物件もありますので、そういう物件を購入して自分でするリノベーション費用は10%以内に収めれば、住宅ローンで限りなく自分の理想に近い物件を手に入れることができるわけです。
購入した後が安心
売主が個人の場合、瑕疵担保責任は引渡しの日から1ヶ月~3ヶ月というのが一般的ですが、売主が不動産会社の場合、瑕疵担保責任は2年以上追わなければならないとされているため、購入する側にとってはより安心できるわけです。
※2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」という呼び方になりました。意味はほぼ同じで、売買契約や請負契約の履行において、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売り主・請負人が買い主・注文者に対して負うこととなる責任のことですが、より重い責任になりました。この責任を負わせるためには、買主は売主に対して、履行の追完請求(補修等の実施請求)、代金の減額請求、報酬の減額請求、損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければなりません。
その他、独自のアフター保証を付けている会社がほとんどで、新規に設置したキッチンやユニットバス、給湯器などは10年保証というのが多く、さらには「マンション自体の配管(専有部分)に不具合が生じた時に2年間は無償で工事する」といった保証を付けているところもあります。
リノベーション物件購入のデメリット
築年数の古いマンションが多い
リノベーション業者はマンションを買い取ってリノベーション工事をして販売しますが、経費と利益を上乗せして販売するため、買い取る時の金額は個人間売買の相場よりも2~3割程度安くなります。それではなぜ、安くなってもリノベーション業者に買い取ってもらう人がいるのでしょうか。それには理由があり、現況のままでは売りにくい物件、自分では売るのが難しい物件、もしくは売却を急いでいる物件だからということが多いです。ではなぜ売りにくいのかと言えば、一番の理由は「物件が古い」ということが挙げられます。室内の経年劣化はリノベーションに寄って改善できますが、マンション自体の築年数が古い場合、共用部分の古さや配管の古さは改善されないため、注意が必要です。室内は新しくピカピカですが、バルコニーに出ると柵が錆びてしまっているなんてこともあります(バルコニーは共用部分のため、マンション全体の管理が悪いとそのようになります)。大規模修繕履歴や長期修繕計画表などを確認しましょう。
事故物件の場合がある
先ほど現況のままでは売りにくい物件、自分では売るのが難しい物件の場合、安くなってもリノベーション業者に買い取ってもらう人がいるというお話をしましたが、それがまさに事故物件であればその理由に当てはまります。事故物件については、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にて告知義務が明記されております。ただし、リノベーション物件のすべてが事故物件であるわけではなく、むしろ事故物件である可能性のほうが低いですが、念のため購入を検討する際には今の売主業者(リノベーション会社)に売却した元の所有者の売却理由を聞いてみるとよいでしょう。
住宅ローンが組めない・組みにくい物件がある
築年数が古い物件の中でも旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた)の物件は、住宅ローンの審査が通らないことがあります。金融機関や物件に寄ってはローンが組める物件もありますので、事前に確認しましょう。ここで注意したいのは「建築年月日=建築確認」ではないということです。建築確認を受けてから数ヶ月後に建設が完了しますので、昭和56年6月~8月あたりに建築された物件は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けている、すなわち旧耐震ということになります。
また、売主であるリノベーション業者自体の問題で住宅ローンが組めないこともあります。例えば、過去に嘘をついて住宅ローンの審査を通したことのある業者が売主の場合、金融機関が審査を通さないことがあります。
転売されたリノベーション物件は保証がつかない!?
リノベーション物件を不動産会社が買い取ってさらに再販していることがあります。その場合、当初の保証が付かない場合があるため注意しましょう。
リノベーション物件会社
中古マンションを買い取ってリノベーションして販売している会社とその特徴をご紹介します。(順不同)
※これらの会社に直接お問い合わせをしても「仲介会社を通してください」と言われる可能性もあるのでご注意ください。
◆未来都市開発
一人暮らし用の1Kからファミリータイプ3LDKまで、オーソドックスで比較的安価な物件が多いです。年間供給物件数が多く、ラジオCMもやっている会社です。低コストで新築同様のマンションを手に入れたい方にはオススメです。投資用として購入するにも良いでしょう。
◆ジャパンプライムムーバ
比較的安価ながらオシャレ感のある内装が特徴的な会社です。都心5区以外の都内での物件の供給が多い印象です。
◆エフステージ
主に2LDK、3LDKでやや高級よりのグレード感のある内装が特徴的な会社です。都内幅広いエリアで物件を供給しています。
文京区にショールームを持ち、リノベーションのみの相談もできます。
◆マイプレイス(旧社名:トータルエステート)
最近社名変更された会社です。リビング収納やちょっとした書斎スペース等、使い勝手を考えた間取りとアクセントクロスやダウンライトでオシャレ感のある内装が特徴的です。物件ごとにテイストが違う面白さもあります。
◆グローバルベイス
DINKS向けの2LDK、ファミリー向け3LDKを多く手掛けている会社で、ステージング(家具を搬入して生活イメージが沸くよう物件を演出する)が上手です。爽やかでセンスの良い物件が多く、個人的にとても好きな内装です。
◆シンプレクス・リアルティ
1LDK~3LDKまで幅広く供給している会社で、折り上げ天井、ダウンライトをふんだんに使い、どんな物件でも同じように仕上げてしまうのがすごいです。ワンランク上のエレガントな雰囲気がお好きな方、特に女性にはとてもウケのよい内装です。
◆ゼニアス
都心5区の好立地の供給が多く、ワンランク、ツーランク上の高級志向の方に好まれる内装です。ひとつひとつが丁寧に仕上げられているせいか、年間供給数はそれほど多くありません。
◆インテリックス
かなり早くからリノベーションを手掛け上場もしていますが、あまり供給物件数は多くなく、再生事業等も手掛けている会社です。
◆リビタ
個性的でオシャレな物件が多いです。供給物件数は多くないですが、1件1件にこだわりが感じられます。
◆その他
ウイングセンター、グローバル住販など。
リノベーション物件を専門的に販売している会社
◆カウカモ
物件の見せ方が上手で、記事として読んでいて楽しいサイトです。
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